指定整備工場を新しく建てようと考えたとき、最も気になるのが「結局、いくらかかるのか?」ではないでしょうか。

建物だけでなく、完成検査場や設備、外構なども必要になるため、「何に、どれくらいの費用がかかるのか分からない」という方も多いと思います。

そこで今回は、ガレージエクステリアが実際にご相談を受けた愛知県内の案件をもとに、指定整備工場の建設費用を解説します。
一般的な相場だけではなく、実際にどのような建物を計画し、いくらでご提案したのか。具体的なプランを見ながら、指定整備工場にかかるお金を見ていきましょう。

一般論ではなく、実際の現場で、どんな提案が行われるかも知ることができます。

結局、指定整備工場を建てるにはいくらかかる?

指定整備工場の建設費について調べると、「規模や設備によって異なる」「数千万円程度かかる」といった情報を目にすることがあります。
もちろん間違いではありませんが、これから実際に整備工場を建てようとしている方にとっては、「では、実際にどんな工場を建てると、いくらになるのか?」が知りたいところではないでしょうか。

そこで今回は、一般的な費用相場だけではなく、ガレージエクステリアが実際のお客様からご相談を受け、建築プランとともにご提示した金額を公開します。
土地の条件や必要な施設なども含めて、実際の案件ではどのように計画したのかを見ていきましょう。

今回提案したのは「総額4,800万円」のプラン

※イメージ

今回ご相談いただいたのは、愛知県内で新たに自動車整備事業への参入を検討されているお客様です。

計画したのは、約110㎡の整備工場を中心に、完成検査場と事務所をそれぞれ別棟で設ける3棟構成のプラン。
ご希望の指定工場の条件も考慮した上でガレージエクステリアがご提案した金額は、「総額4,800万円。」

お客様からは、同様の計画を一般的な建て方で進めた場合、8,000万円近くかかることも想定される内容だったといいます。
単純に比較すると、その差は約3,200万円です。

では、なぜ今回のプランでは「4,800万円」まで抑えることができたのでしょうか。

ポイントは、建物の品質や必要な機能を単純に削ったことではありません。
「すべてを一つの大きな建物としてゼロから設計する必要があるのか?」というところから建築計画そのものを見直し、規格化された鉄骨建築をベースに、整備工場・完成検査場・事務所を分けて計画したことが大きなコスト削減に繋がったと思います。

この「なぜ3棟に分けたのか」については、後ほど詳しく解説します。

ご注意

4,800万円および8,000万円近くという金額は、今回ご相談いただいた案件をもとにした金額・比較です。指定整備工場が一律にこの金額で建設できることを示すものではありません。

4,800万円には何が含まれている?

今回の4,800万円は、鉄骨の建物だけを建てるための金額ではありません。
実際に整備工場として使用できる状態を想定し、建物に加えて、造成や外構、給排水、電気、空調、内装なども含めた形でご提案しています。

今回の計画を大きく分けると、

  • 約110㎡の整備工場
  • 約28㎡の完成検査場
  • 約20㎡の事務所
  • 造成・外構
  • 給排水・電気
  • 空調・内装など

を含めたプランです。

見積もりを比較するときは、金額だけを見るのではなく、「その金額で、どこまで完成するのか」まで確認することが重要です。
例えば、建物自体を安く建てられたとしても、土地の造成が必要だったり、電気設備や給排水、舗装などに大きな費用がかかったりすれば、最終的な事業費は変わります。

指定整備工場の建設費は何によって変わる?

指定整備工場の建設費は、単純に「坪数×坪単価」だけでは決まりません。
特に大きく影響するのが、①建物の規模・つくり方、②整備内容と設備、③土地の状態、④建物以外にどこまで含めるかです。

まず考えたいのが、必要な機能を一つの建物にまとめるのか、分けるのかという点です。

指定工場では、車両を整備する作業場だけでなく、完成検査を行うスペースなども必要になります。そのため、必要な機能をすべて一棟にまとめようとすると、単純に床面積が増えるだけでなく、建物の規模によっては建築基準法上求められる構造や防火上の条件などが変わり、かえって建設費が大きくなる場合があります。
今回の案件でも、整備工場・完成検査場・事務所を一つの大きな建物にするのではなく、それぞれを別棟として計画することで、必要な機能を確保しながら建物を合理化する方法を検討しました。

次に影響するのが、どのような整備を行う工場なのかです。

例えば、リフトが2台なのか4台なのか。普通乗用車が中心なのか、大きな車両まで扱うのか。それによって必要な作業スペースだけでなく、建物の高さや間口、シャッター、車両動線なども変わります。
つまり、「50坪の整備工場はいくら?」と建物の面積だけで考えるのではなく、その50坪を何に使うのかまで決めなければ、現実的な建設費は見えてきません。

そして、意外と大きな差が出るのが土地選びです。

同じ110㎡の建物を建てる場合でも、

  • 造成が必要なのか
  • 地盤改良が必要なのか
  • 給排水をどこから引き込むのか
  • 駐車場や車両動線をどこまで舗装するのか
  • 敷地に高低差があるのか

などによって、建物以外に必要な工事費は変わります。

そもそも「指定整備工場」には何が必要?

※イメージ

ここまで「指定整備工場を建てる費用」について解説してきましたが、そもそも指定整備工場とは、どのような工場なのでしょうか。

自動車整備工場には大きく「認証工場」と「指定工場」があり、指定工場を目指す場合は、認証工場としての要件に加えて、検査を行うための施設・設備や人員などが必要になります。国土交通省では、指定工場を「認証工場のうち、一定の基準に適合する設備・技術・管理組織を有し、検査設備を備え、自動車検査員を選任しているもの」としています。

今回ご紹介している4,800万円のプランでも、この「指定工場として使用するために何が必要なのか」を考えながら建物を計画しています。

ここからは「指定工場の建設」という視点も含めて、お得に建設するために行ったことを紹介します!

認証工場と指定工場の違い

まず知っておきたいのが、「認証工場」と「指定工場」の違いです。

認証工場は、一定の作業場や設備、整備士などの要件を満たし、地方運輸局長から自動車特定整備事業の認証を受けた整備工場です。
一方の指定工場は、認証工場のうち、さらに一定の設備・技術・管理組織や検査設備などを備え、地方運輸局長から指定を受けた工場です。一般的には「民間車検場」とも呼ばれています。

大きな違いの一つが、「車検時の検査」です。
認証工場では、整備した車を運輸支局などの検査場へ持ち込んで検査を受けます。一方、指定工場では自社で完成検査を行い、保安基準に適合していることを証明する仕組みがあります。
そのため、指定工場を新しくつくる場合には、「車を整備する場所」だけを考えて建物を計画することはできません。

施設の面積要件

事業の種類 対象自動車の種類 認証工場 指定工場
屋内作業場 車両置場 部品整備
作業場
屋内作業場
現車作業
屋内作業場
部品整備
完成検査場
車両整備
間口
車両整備
奥行
点検作業
間口
点検作業
奥行
たて よこ
普通自動車
分解整備事業
普通自動車(大型)
・車両総重量8t以上
・最大積載量5t以上
・乗車定員30人以上
5m以上 13m以上 5m以上 13m以上 3.5m以上 11m以上 12㎡以上 130㎡以上 12㎡以上 屋内であって
対象車両の
完成検査を行うのに
十分な面積
大型特殊
普通自動車(中型)
・最大積載量2t以上
・乗車定員11人以上
・上欄以外
5m以上 10m以上 5m以上 10m以上 3.5m以上 8m以上 12㎡以上 100㎡以上 12㎡以上
普通自動車(小型)
・貨物自動車
・特種用途自動車
・上二欄以外
4.5m以上 8m以上 4.5m以上 8m以上 3m以上 6m以上 10㎡以上 72㎡以上 10㎡以上
小型自動車
分解整備事業
普通自動車
小型四輪自動車
小型三輪自動車
・上三欄以外
4m以上 8m以上 4m以上 8m以上 3m以上 5.5m以上 8㎡以上 64㎡以上 8㎡以上
小型二輪自動車 3m以上 3.5m以上 3m以上 3.5m以上 2m以上 2.5m以上 4㎡以上 21㎡以上 4㎡以上
軽自動車分解整備事業 3.5m以上 5m以上 3.5m以上 5m以上 2.5m以上 3.5m以上 6.5㎡以上 35㎡以上 6.5㎡以上

※指定工場欄中、屋内作業場は認証工場欄中、屋内作業場との兼用可
・認証工場設備、指定工場設備及び部分認証に関しては管轄する運輸支局にお問い合わせください

要員の要件

要員項目 認証工場 指定工場
事業場管理責任者 ― 1人
工員数 2人以上 4人以上(注1)
 うち主任技術者 ― 1人以上
 うち整備主任者 1人以上 1人以上
 うち自動車検査員 ― 1人以上
 うち整備士 1人以上かつ保有割合1/4以上 2人以上かつ保有割合1/3以上(注2)

(注1)対象自動車の種類に車両総重量8t以上、最大積載量5t以上及び乗車定員30人以上を含む場合は5人
(注2)自動車タイヤ整備士、自動車電気装置整備士及び自動車車体整備士を除く

指定工場には「完成検査場」が必要

指定工場を計画するうえで、建物に大きく関係してくるのが「完成検査場」です。

完成検査場とは、整備を終えた自動車について、保安基準に適合しているかを検査するためのスペースです。
国土交通省の基準では、指定工場の完成検査場について、屋内で、対象車両の完成検査を行うのに十分な面積を確保することが示されています。

ここでポイントになるのが、「○㎡以上」と一律の面積だけで決まっているわけではなく、その工場で扱う車両や検査設備を踏まえて計画する必要があることです。実際に今回ガレージエクステリアが提案した案件では、「3.6m × 7.2m(約28㎡)」の建物を、完成検査場として別棟で計画しました。

なぜ整備工場の中に完成検査場を設けるのではなく、わざわざ別の建物として計画したのか。
実はここが、今回の4,800万円というプランを考えるうえで重要なポイントになります。

なぜ4,800万円で提案できた?ポイントは「3棟に分ける」こと

今回の計画で、建設費を抑えるために大きなポイントとなったのが、必要な機能を一つの大きな建物にまとめなかったことです。

指定整備工場だからといって、整備をする場所、完成検査をする場所、事務所などを、すべて一つの建物に入れなければならないわけではありません。
そこで今回ガレージエクステリアでは、「整備工場」「完成検査場」「事務所」という3つの役割を分け、それぞれを規格建築で計画しました。

※イメージ(資料)

①110㎡の整備工場には最大4台のリフトを想定

※イメージ(提案資料の一部)

まず、メインとなる整備工場は「約110㎡」で計画しました。
110㎡は普通自動車(小型)の指定工場の屋内作業場(現車・部品)の要件をクリアしています。
今回のプランでは、この約110㎡の中には最大4台のリフトを設置することが可能ですが、指定工場要件と作業性から2台のリフトを設置することにしました。

②完成検査場を約28㎡の別棟として計画

前章で解説したように、指定工場を目指す場合には、完成検査を行うためのスペースも考えなければなりません。
今回のプランでは、整備工場の中に完成検査場を組み込むのではなく、3.6m×7.2m、約28㎡の建物を完成検査場として別棟で計画しました。

なぜ、わざわざ別棟にしたのでしょうか。

今回の計画では、整備工場と完成検査場、事務所を一つの建物にまとめると150㎡を超える規模になります。すると、今回の建築条件では防火上必要となる構造・仕様への対応によって、建設コストが大きく上がることが想定されました。

そこでガレージエクステリアが提案したのが、「整備工場を大きくする」のではなく、「完成検査場を別棟にする」という方法です。
メインとなる整備工場は約110㎡に抑え、完成検査場として必要なスペースだけを別の建物にすることで、それぞれの役割に必要な大きさで計画しました。

そして、もう一つポイントになるのが、「完成検査場をどのくらいの大きさにするのか」です。
指定自動車整備事業の基準では、完成検査場について、屋内で対象車両の完成検査を行うために十分な面積を有することが求められます。つまり、すべての指定工場について「○㎡以上」と一律の数字だけで決められているわけではありません。
そこで今回の案件では、扱う車両と実際の検査作業を想定し、車両を入れたうえで人が周囲で作業できるスペースとして、3.6m×7.2m(約28㎡)を確保するプランをご提案しました。

この3.6m×7.2mという寸法も、ガレージエクステリアが扱う規格建築で対応できるサイズです。
つまり今回の別棟化は、単に建物を3つに分けたのではありません。必要な完成検査スペースを具体的な寸法に落とし込み、それを当社強みとする規格建築でつくれる大きさにすることで、必要な機能を確保しながら建設費を抑える。

これが、今回4,800万円のプランを組み立てるうえでの大きなポイントの一つです。

③事務所も約20㎡の規格建築で別棟に

今回のプランでは、整備工場・完成検査場に加えて、約20㎡の事務所も別棟として計画しました。
受付や書類作成などを行う事務所まで整備工場と一体にすると、その分だけメインの建物を大きくする必要があります。

指定整備工場を建てるなら、土地を買う前から計画を

ここまで紹介してきたように、指定整備工場を建てるには、整備を行う作業場だけでなく、完成検査場や事務所、車両を置くスペースなども考える必要があります。
そのため、これから指定整備工場を建てるのであれば、土地を購入してから建物を考えるのではなく、建てたい整備工場から逆算して土地を探すことが重要です。

実際に今回ご紹介したプランでも、建物だけを考えたのではなく、土地の条件を確認しながら計画を進めています。

ここまで建物の話をしてきましたが、意外とコストに大きく関わるのが「土地選び」です!

指定工場に必要な建物・設備から土地の広さを考える

「整備工場を建てるなら、土地は何坪あればいいですか?」

この疑問に対して、単純に「○坪あれば大丈夫」と答えることはできません。

例えば今回のプランでは、

  • 約110㎡の整備工場
  • 約28㎡の完成検査場
  • 約20㎡の事務所

という3棟を計画しています。

しかし、必要なのは建物が収まる面積だけではありません。

車両置き場の条件はもちろん、車両が敷地へ入り、整備工場や完成検査場へ移動し、必要に応じて切り返すためのスペースも必要です。さらに、預かった車両や従業員・来客用の駐車スペースなども考えなければなりません。
リフトの台数や扱う車両、整備内容によっても、必要な建物と土地の大きさは変わります。

市街化調整区域では「建てられるか」を先に確認

そして、土地の広さや価格と同じくらい重要なのが、その土地に整備工場を建てられるのかという確認です。

今回ご紹介している案件でも、候補となったのは市街化調整区域にある土地でした。
市街化調整区域は、市街化を抑制することを基本とした区域です。そのため、「土地が広い」「価格が安い」「幹線道路に近い」といった条件だけを見て購入すると、計画していた整備工場を建てられない可能性があります。

特に指定整備工場の場合は、単に建物が建つかどうかだけではなく、整備工場・完成検査場・事務所など、実際に計画している内容を前提として確認することが重要です。

土地探しに関する記事はこちら

ガレージエクステリアだからできる、合理的な自動車整備工場建設

自動車整備工場は、自由に設計できればできるほど良いとは限りません。
リフトを何台設置するのか、どのような車両を扱うのか、完成検査場や事務所をどう配置するのか。実際の整備業務に必要な機能を満たしたうえで、建物にかけるコストをどう抑えるかも重要です。

ガレージエクステリアでは、カクイチの規格化された鉄骨建築をベースに、整備工場の用途に合わせた建物をご提案しています。

今回ご紹介した4,800万円のプランも、その考え方から生まれました。
すべてを一つの大きな建物にまとめるのではなく、約110㎡の整備工場・約28㎡の完成検査場・約20㎡の事務所に役割を分け、それぞれを規格建築で計画。
必要なところには自由度を残し、規格化できるところは規格化することで、必要な機能と建設費のバランスを考えています。

また、整備工場を建てるためには、建物だけを考えればよいわけではありません。

「この土地に整備工場を建てられるのか」という土地選びの段階から、建物の配置、車両動線、リフト、完成検査場、造成・外構、そして資金計画まで、開業から逆算して考える必要があります。

ガレージエクステリアでは、まだ土地が決まっていない段階からご相談いただけます。

「自分が考えている整備工場なら、どのくらいの土地が必要?」
「認証工場・指定工場をつくるなら、どんな建物が必要?」
「建物や設備まで含めると、総額でどのくらいになる?」
そんな段階から、具体的な計画へ落とし込んでいきます。

ゼロからすべてをつくるのではなく、必要なものを、必要な大きさで、合理的に建てる。
200㎡以下の自動車整備工場をご検討の方は、まずは建てたい工場のイメージからお気軽にご相談ください!

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